1981年7月8日生まれ。岐阜県出身。慶応大学法学部を卒業後、大手アパレルメーカーに就職。営業として活躍するも、決められた枠の中での仕事に疑問を抱き、新しい可能性を見いだすために退職。世界一周の旅に出る。
帰国後は故郷の岐阜に戻り、インターンシップ生として醤油メーカーである山川醸造で働く。地場産業を守り、世の中に広めたいという思いがつのり、後に就職。
現在は同社のマーケティングマネージャーとして販路の拡大や商品のパッケージデザイン、地域イベントの企画・運営などをおこなっている。
「日本と言えばトヨタだね」「ソニーなら知ってるよ」。大学を卒業してから勤めていた会社を辞め、世界を放浪していた時、現地の人たちからよく言われました。誇りに思う反面、残念だった。
たしかに世界に誇れる企業だけど、他にも町に根付いた文化や産業があるのにな、って。でも、自慢したくても日本の良さを何も伝えられなかった。生まれ育った故郷のことでさえ、何も知らなかったから。
僕は高校時代、地元を好きになれなかった。遊ぶ場所もなければ、オシャレな服が買える店もない。家の周りは山と田んぼに囲まれてる。不便さばかりが目について、岐阜を飛び出し東京の大学に進学しました。
でも、もしかしたら自分の求めている「世界に自慢できる何か」のヒントは地元にあるかもしれない。そう思い、岐阜に戻って日本の魅力を探し始めました。
岐阜の産業のすごさを自分の目で確かめるには、職業体験だ。そう思って見つけた会社が、山川醸造という従業員数8名の小さな醤油メーカーでした。大手メーカーの醤油は工場で大量生産され、3ヶ月で世に出回る。一方、山川醸造の「たまり醤油」は発売までに2年かかる。
100年以上前から使われている木桶の中で、ゆっくり手間ひまかけて生まれた醤油。美味しくないわけがありません。「良いものを作ってるのに、存在がほとんど知られていないなんてもったいない!」。
醤油づくりに関わっていくなかで、次第に作り手の立場で考えるようになりました。商品は良い。作り手には愛がある。でも、外に伝える方法を知らない。
だったら、僕が伝えていこう。
職業体験のつもりで入った会社で、気づけば社員として働いていました。
小さなメーカーの最大の課題は、商品を販売してくれる店が少ないこと。たとえばスーパーやコンビニで商品を買う時、店頭に並んでいるのは有名な会社の商品ばかりですよね。
大手の子ども服メーカーで働いていた頃は、会社の名前を言うだけですんなり担当者が話を聞いてくれた。でも、町の小さな醤油屋さんなんて、なかなか相手にしてもらえない。自分で未開の地を開拓していかなければなりません。
でも、これこそが僕の求めていた仕事でした。「僕、この商品が大好きなんです。だからぜひ店に置いてください!」。作り手の思いを代弁するような営業トークが僕の持ち味。醤油づくりの現場に携わった分、商品に対する愛着も大きい。言葉には自然と熱が入ります。
大手の小売店での販売が決まるごとに、少しずつ手応えを掴んでいきました。
醤油の魅力を広めるだけではなく、岐阜に住んでいる人たちに町の産業について知ってほしい。そう思って企画したのが醤油蔵の開放イベントでした。
「たまごかけごはんのたれ」と岐阜の米農家、養鶏農家がコラボした「日本一のたまごかけごはんを食べよう!」という企画や、ケーキ屋さんとコラボした醤油スイーツイベントなど、岐阜の産業の活性化につながるような行事を定期的に開催しています。
改めて考えてみるとおかしな話ですよね。出て行きたくてしょうがなかったふるさとで、周囲を巻き込んで色んな挑戦をしてるなんて。生まれ育った町の魅力は、離れてみないと分からないものです。
高校生の皆さんも、地元に目を向けてみると、意外に面白い発見や夢中になれる何かが見つかるかもしれませんよ。