税務のスペシャリストである税理士の仕事に、日々取り組む榊原さん。「税の仕組みなんて、普段の生活では知らないことが多いですよ」と語るが、具体的にはどんな仕事だろうか。
税理士は複雑な税制を把握し、独立した立場で適正な納税義務を実現させることを使命として働く。書類作成や会計帳簿の代行などの企業にとって面倒な作業から、事業経営の相談役として依頼を受けることも多く、ビジネスでは必要不可欠の存在と言えるのだ。周囲から“アニキ”と呼ばれる由縁かもしれない。
90年代バブルがはじけ長引く不況の中、家業を辞め、やりたい税理士の世界に飛び込んで経営感覚を磨き続けてきた。当時も今も税理士試験は難関で、いわばフリーター状態の榊原さんは大きな挑戦を続けてきた。
「一緒に頑張れる人がいて、本当にありがたかった」という心の支えは奥さんの存在だった。だからこそ今は、人の頼りになる存在でありたい、そうだ。
榊原さんが36歳のとき、父親に告げられたのはがんの診断。大手術と闘病生活の末、1年後に他界した父の闘病日誌から、そのとき初めて親の波乱の人生と、子への愛情の深さに気が付いた――「次の世代に、伝えないといけない」。
スイッチが入ったように、父性に目覚めた。まず市の「次世代育成支援協議会」の委員に。次にある新聞記事を見つけ、東京のNPO法人「ファザーリンク・ジャパン」の活動にも参加していく。
「よいパパになろうとすればプレッシャーになるけど、楽しむパパになれば子どもは生き様を感じてくれるのでは」と思い、2児の父として育児や、地域の父親同士のコミュニティ作りなどの子育て支援など積極的だ。
先日、同じ歳の友人の子どもが生後8カ月で他界。そのとき心にしみたのは「人生というのは、生まれて生きて死ぬだけ。それだけで素晴らしいこと」という言葉だった。
だから“アニキ”は、社会で頑張る人を応援するため、今日も現場に立ち向かっていく。