有名進学校の名を背負っていようが、お構いナシ。高校時代は勉強そっちのけで、自分の興味のあることに没頭していたという加藤さん。
「音楽か料理か、いや映像制作も捨てがたい…」可能性が広がる一方で、多才な少年は進路を決断できず悩んでいた。
そんな時、何気なく読んでいた進路ガイドブックの『獣医師』という言葉に、不思議なほど心を揺さぶられた。
「薬剤師だった父の影響で医師へ憧れはずっと心にあって、獣医は生物が得意な自分にもってこいの職業だと思ったんです」。大学時代、実習生として働いていた『犬山動物病院』では、雑用から動物の世話までやれることは何でも任された。
点滴の針が抜けぬよう、何時間も犬の前肢を握っていることもあった。「『バカヤロー』と怒鳴られながらも、『目の前で苦しんでいる動物を助けたい!』、その一心でやってましたね」と当時を振り返る。
ひたむきな努力が認められ、卒業後も院長のもとで4年間実践を積み、30歳にして長年の夢であった開業を実現させた。
今の時代、ペットを家族同然のように可愛がる飼い主も少なくない。しかし一方で、何でも食べ与えるなどの間違った世話で、ペットの健康を損ねているケースもある。
飼い主の治療放棄や、ペット依存といった問題に対して加藤さんは、「実はこれ、人間の世界も同じ。子どもの言うなりにしたり、説明もせず頭ごなしに『ダメ!』と言う親ってたくさんいるでしょ。学生のうちは、まだ人間としての軸がしっかりしていない。だからこそ、大人がきちんと分別をつけさせないといけないんです」と警鐘を鳴らす。
加藤さんは現在、活動の場を病院から地域へと広げ、市民講師として、獣医の仕事を通して学んだ大人と子の関わり方について講演している。
「僕の1番の夢は、『笑顔と愛であふれる世の中で暮らすこと』。そんな世の中に少しでも近づけたい。だからこの町で、自分の想いを発信し続けていきます!」。