「小さい頃から何かを作ることが好きで、将来は何になろうか考えているとき、大工は選択肢のひとつでした。一度は女の仕事じゃないと諦めましたが、高校時代にマスコミを騒がせた欠陥住宅への疑問や大工さんのカッコいい姿、が決め手」と語るのは、今春に大工の専門学校を卒業したばかりの田口さん。
一般的なイメージとして、大工は男性の仕事。女性はめずらしく、この世界に入るときは相当の覚悟をしたとか。「迷いはありませんでした。この仕事が好きだから、やりたくて仕方がなかったから」
高校卒業を前に、大工の就職先を探したが見つからず、そこで出会ったのが大工の育成塾。「塾で学べたことは、とてもプラスでした。見習いの現場先や仕事先を必死になって探してくれる」ので、女性はなかなか受け入れられない大工への道を切り開くことができた。
「女の子だけど、特別扱いしないぞ」と今の建設会社の社長に叱咤されながら、今日まで頑張ってきた。「女だからといってなめられてはいけない、と常に気合いを入れていました。負けん気がないと、やっていけない仕事ですよ」
現在の作業所では、10人くらいの大工が手分けをし、昔ながらのやり方で作業をしている。工場の機械には任せず、自分たちの手で資材をきざんで組み立てていく。手作りのこだわった仕事なだけに、肉体労働の毎日。「どんなにつらいことがあっても、好きだから乗り越えられます。好きなことをやるしかないですね」
やりたいことを見つけた高校時代では、いろんな方向から建築の追求をしたという。「ものを作ることが好きだ、と再認識できた時期。今の高校生にひとつ言えるとすれば、すごくレベルが上の目標を持っても、やりたいと思って続けたらできる」と語る田口さん。
現時点での将来の夢は「一軒の家を任されるような、早く一人前の職人になること」。大工1年目、夢に向かって歩み始めたばかりだ。