ル・マン24時間レース。そのレーシングカーを、湯地さん率いる設計開発チームはたった6人でつくりあげる。サーキット場での設計者たちの仕事はレースの全工程に関わる。レーシングドライバーとマシンの使い方を話しあったり、テスト走行に立ち合ったりすることもある。
24時間レースが始まれば、マシンの動きとデータを交互ににらみながらの分析作業が続き、準備も含め36時間以上も不眠不休でマシンに付ききりとなる。
「好きじゃなきゃできない仕事ですね」
華やかそうに見えるが、設計者の日常は、朝から晩まで机の上の設計図と向き合う毎日。寝食惜しんで徹夜することも珍しくない。そんな生活を送っているにもかかわらず、湯地さんは生き生きしている。
その理由を尋ねると「仕事そのものが遊びですから」と笑顔で答えが返ってきた。
たまたま見つけたアルバイト募集がきっかけで、そのままアルバイト先で実力を買われてレーシングカーの設計者となった。一見、幸運に見舞われただけのようであるが、そうではない。
中学の時にテレビでみたF1*レースに衝撃を受けてから、レーシングカーに近づきたい一心で、大学は製造業が盛んな名古屋の地を選び、本場ヨーロッパでも仕事ができるように英語の勉強もコツコツと続けた。
ただ、何より鍵になったのは夢を語り合える仲間が周りにいたことだった。
「夢をゴールに見立てると、重要なのはトップ集団にいることです。『天才に会った人は天才になれる』という言葉があります。つまり、私たちは人に感化されて成長するということです」
最後に湯地さんから皆さんへ一言。「高校時代は、何か熱中できる対象を見つけて、それに没頭する練習をしておくといいですね。勉強は将来の選択肢を広げるための手段です」
F1* モータースポーツの最高峰と呼ばれる。決められた距離を どれだけ速く走れるかを競う。