今年11月末、大阪の心斎橋大丸では日本で一番大きな壁面イルミネーションが点灯された。この大がかりな作品のデザイナーが、弱冠24歳の彼である。
イルミネーションデザイナーとして全国の夜の風景を演出するのが彼の仕事だ。デザインを描き、工場で事前の作り込み作業に立ち会い、現場の施工でも指示を飛ばす。
彼のように自らヘルメットをかぶり、現場に入っていくデザイナーは少ない。デザインから仕上げまで責任を持って関わるからこそ、こうして大きな仕事が入り、イルミネーションのデザインだけで食べていける。
「大学卒業後、イルミネーションの会社でデザインしながら、工場に行って職人さんに電気や構造やモノづくりの基本を教えてもらって。それが大きな財産になっていますね。」
1年で会社を退職し、23歳で会社設立。半年で会社を閉じて、友人と新会社を設立。仕事のやり方もユニークならば、働き方も独自のスタイルを貫く。
「会社なんて単なる器だから、自分が働きやすい環境を作ったり壊したりすればいい。」 彼の独自の考え方は高校生時代に養われたという。
高校受験で挫折を感じた後に見えたものは「いい学校に行って、いい会社に入る」ことのつまらなさ。嫌いな授業中には好きな数学をずっと勉強し、考えることの楽しさや面白さを知った。
いかに頭で描いたものを忠実に形にするか。考え続けることは、苦しくもあり、楽しくもある。
「点灯式での子どもたちの歓声や、人々のためいき。イルミネーションの下に集まった人々に素敵な『夢』を見てほしい。これが僕の支えであり『夢』なんです。最近、こんなことを思うんです。作り手が苦労すればするほど、作品が与える人々への感動は大きくなる。夢をつくる仕事は、見えないところでどれだけ苦労できるかが大切なんですよ。」