オトナカタログ

劇団主宰、作・演出家
社会
品川浩幸
劇団シアターガッツ主宰/作・演出家 愛知県立横須賀高校英語教師

演劇ばかりの大学時代

薄暗い小劇場の中で、初めて見る演劇は衝撃的だった。思いっきり笑い、思いっきり泣いた。気が付いたら「この劇団に入れてください!」とお願いしている自分がいた。

死ぬほど勉強して入った大学なのに居場所を見つけることができずに悩んでいたことなんか吹き飛んでいたのだ。わずか2時間の舞台が、自分の価値観を180度変え、その後の演劇人生を決定付けた。

自分でもやってみたい。自分も同じように人の人生を変えられるほどの力を持った演劇ができるんじゃないか?

演劇は一度もやったことは無く、ゼロからのスタートだが迷いは無かった。こうして演劇ばかりの4年間の大学時代が始まった。

自分の脚本がリアルになる瞬間

大学を卒業し、教師として最初に赴任した学校で、経験を買われて演劇部の顧問になった。

しかし、これまで役者としてしか演劇に関わってこなかったので教えるといっても、身体訓練による体づくりや発声練習、表情のトレーニングなど、自分がやってきたことをやってきたようにしか教えることができなかった。

練習の辛さや恥ずかしさで部員は徐々に減り、ついに1人になってしまった。 部員1人と自分、あわせて2人だけの舞台。さらに15分という短い発表時間。困った。脚本が無い。

学生時代の先輩の脚本から1シーンを借りてきて、残りを付け足すことにした。すると、舞台では自分の書いたものが実際の人の言葉となってリアルに立ち上がっていったのだ。

嬉しかった。

それまで役者が1番だと思っていたが、演劇の新たな魅力を見つけた。それが脚本家品川浩幸の目覚めの瞬間だった。