おしっこが我慢できなくなったり、せきやくしゃみで思わず出てしまったりする「尿もれ」。こうした排尿障害を始め、腎臓や尿路、男性の生殖器などの病気を扱うのが泌尿器科である。吉川さんは泌尿器科で18年間、臨床に携わってきた。
医師は臨床研修で全科を経験して将来の専門を決める。吉川さんは「手術室の居心地が良かったんです。段取りを取ってみんなで役割を分担する。自分に向いているなあと思いましたね」と外科系に興味を持つ。
選択したのはまだ女医が2%と少なかった、泌尿器科。「わざわざ大阪や青森、東京から尿失禁の手術に来るという患者さんの話を聞いたんです。しかも当時は開腹せずに内視鏡で手術をしたり、体外衝撃波で結石を粉砕するというような医療技術が開発されたばかり。これは面白い! と感じました」。
吉川さんの一日は、多忙だ。朝9時から3時までの外来診療では「飲まず、食わず、出さず」が日常。夜間の救急外来からの呼び出しもしばしば。加えて大学の学部生たちとのゼミや医局内での勉強会もある。
しかも2002年からは、「愛知排泄ケア研究会」に所属して研究会や市民講座の講師を務めるなど、地域に向けた活動も行っている。
「医療は勉強し続けなければなりません。精神的な体力と忍耐力、そして、しつこさが必要ですね」。しかし、医療などの「ケア」を目指すには、それほど固い適性は考えなくてもよいという。
「医療・看護・介護は非常に複合的な仕事から成り立っています。不器用だから、血を見るのがダメだから、人見知りだからとか、それほど適性は狭くないですね」。